桜姫 現代版

6/16(火) 19:00〜22:00
約1年ぶりにシブヤブンカムラ シアターコクーンへ。
最後に観劇したのが昨年8月だったので、時間の経つスピードが年々速くなっていることを実感する。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_sakura_gendai.html


歌舞伎という極めて完成された文化を現代劇としてアレンジした、コクーン歌舞伎初の試み。
率直な感想としては、ちょっと難易度が高かったように思う。
中村勘三郎氏はやはりあくまでも歌舞伎役者で、普通の衣装と現代の言葉を話す役がしっくりこない。
もちろん他の現代劇に出演しているし、役者として極めて高いレベルにあるということはわかるのだけど、
今までシアターコクーンで過去三回、歌舞伎役者としての中村勘三郎を観てきた自分からすると、「見慣れない」のだ。
毎回パンフレットに書かれている通り、「コクーン歌舞伎は本物の歌舞伎ではない」という批判はもちろんある。
そして、串田和美中村勘三郎本人達も、それは認めている。
しかし、伝統的な歌舞伎で出来ない演出や、思いつくことの無いアイデアの融合の中で生まれるコクーン歌舞伎が、
現代において大きな成功を収め、役者達の心を掴んでいることも、れっきとした事実である。
歌舞伎座をはじめとした、正式な場所で行われる歌舞伎を見たことのない私にとっては、コクーン歌舞伎が「歌舞伎」なのである。


しかし、古田新太大竹しのぶといった見慣れていていつも楽しませてくれる役者が入り、
舞台装置を極力廃し、役者の力だけで成り立たせる演出はさすがだと思った。


歌舞伎というものは、そもそも昔に書かれた本だから極めて娯楽が少なく、
人の生き死にや色事、血縁に関する重たいテーマが多い。
それが複雑に絡み合って、結末も暗い結果で終わる。
しかし、現代劇に書き直された今回の舞台は、現代風に若干の訂正が入っていて、
言葉は少なくとも現代に生きる人間に必要な要素が盛り込まれていたように思う。


7月に行われるコクーン歌舞伎「桜姫」が非常に楽しみ。
現代劇版であらすじは掴めたので、歌舞伎版がどのような演出になるかを楽しみたい。
やっぱり綺麗なおねーさんと芝居に行くってのは良いっすよ。